10月20日牧師室より

水野源三さんは9歳の時に脳性麻痺になって目と耳以外の機能を失いましたが、町の教会の宮尾牧師を通して主イエス・キリストに出会ってキリスト者となり、神への喜びを詩につづり続けました。まばたきで言葉を伝えたことから「まばたきの詩人」と呼ばれています。この人の詩に「お話ししてください」というものがあります。

 

主よ/お上がり下さい

こちらの部屋に/おいで下さい

 

姪たちは/学校へ行って

弟たちは/納品に行って

私ひとりです

 

主よ/お話ししてください

私たちの望みなる/御国のことを

 

主の御言葉を聞きたいと願っている水野さんの主を求める想いが伝わってきます。

ヘブライ人への手紙5章8節に「キリストは御子であるにもかかわらず、多くの苦しみによって従順を学ばれました」と書かれています。「従順」と聞くと「長い物には巻かれよ」ということわざを思い浮かべる人がいるかもしれません。しかし、キリストが学ばれた「従順」は「下で聞くこと」、つまり天におられる主なる神の言葉に聞くことです。

水野源三さんは主なる神の言葉を聞きたいと願い、きっとその言葉を聞いたに違いありません。彼はキリストに倣い「従順」を学びました。きっとそのことによって水野さんは平安を得ていたのだと思います。彼が紡ぎ出した詩は今でも困難に出会った人々や苦しみの中にいる人々をなぐさめてくれます。