聖書に洗礼者(バプテスマ)のヨハネと呼ばれる人物が出てきます。この人はイエス様の母マリアの親戚エリサベトの子でイエス様より6カ月早く生まれました。そして健やかに育ち、イスラエルの人々に悔い改めの洗礼を告げるまでは荒れ野にいました。彼の身なりはラクダの毛衣に革の帯で、食事はイナゴと野蜜でした。多くの人が彼のもとに来て洗礼を受けました。そして彼はユダヤ王ヘロデに律法違反の罪を告げたことから、捕らえられ殺されてしまいました。
この人は福音宣教にどういう役割を果たした人でしょうか。ヨハネはヨルダン川の水で洗礼を授けました。この洗礼は「悔い改めの洗礼」と言われています。彼の言葉は「蝮の子らよ、差し迫った神の怒りを免れると、だれが教えたのか」という具合に非常に厳しかったのですが、悔い改めれば誰でも洗礼を受けて救われるという画期的なものでした。
しかし彼は、「わたしはあなたたちに水で洗礼を授けるが、わたしよりも優れた方が来られる。その方は、聖霊と火であなたたちに洗礼をお授けになる。」(ルカ3:16)と言ったように、キリスト(救い主)ではありません。
洗礼者(バプテスマ)ヨハネで思い出すのは画家グリューネヴァルトが描いた『イーゼンハイム祭壇画』です。中央に十字架につけられて亡くなったイエス様が描かれており、その右側にヨハネが描かれています。その右手は十字架のイエス様を指しています。この絵には、ヨハネはイエス様を指し示す使命を与えられていたという意味が込められています。きっとヨハネはイエス様を指し示すために現れ、その使命を果たしたのだと思います。