福音書には有名なマルタとマリアの出来事が記されています。マルタはイエス様を家に招き、もてなしのために忙しく働きました。妹マリアはイエス様の足元に座って話を聞いていました。マルタがイエス様にマリアが手伝わないことの不平を言うと、イエス様は「必要なことはただ一つだけである」(ルカ10:42)と言い、続けてマリアからそれを取り上げないように言いました。
この出来事を読んで、もし私たちがイエス様の言葉を聞くだけで十分なのだと理解したら、それは不完全な理解となります。イエス様は良いものが何であるかを知っていることが大切だと言われているのであって、何もしないことが良いと言われているのではないことに目を留めたいと思います。
聖書に書かれている言葉は神の言葉です。この世の価値観と比較して聖書の言葉の方が優れているといった相対的なものではなく、この世を支配する絶対の価値を有しています。神の言葉を聞いた者は動かざるを得なくなります。マルタに足りなかったのは神の言葉を聞くことを第一とする気持ちでした。彼女は神の子イエス様のためにもてなしをしていたのですからそのことに喜びを感じることができたはずでした。揺るぐことなく信仰に踏みとどまり、福音の希望から離れないようにすることこそが大切です(コロ1:23)。
マルタのように私も神を見ずに人を見て心の中で不平を思うことがあります。そんな時には御言葉に聞いて神のために働くことの喜びを思い出したいと思います。神のために働く喜びは他者の行動や評価によって変わることはありません。