3月1日牧師室より

人は富、名誉、身分、健康、長寿などすべての現世的利益を手に入れたいと願います。創世記に出てくるアブラハムは数々の試練を受けなければなりませんでしたが、主なる神に祝福されてそれらすべてを手に入れた人と言えるでしょう。これはイエス様がニコデモに語った永遠の命(霊的利益)を予見させるできごとでした。

「新たに生まれ変わりなさい」(ヨハネ3:3)というイエス様の勧告はアブラハムに「私が示す地に行け」(創12:1)という主のご命令に匹敵するものです。「新たに生まれ変わる」とはニコデモが持っている律法の知識やユダヤ人という誇りを捨て、イエス様を救い主と信じて神の愛に生きる信仰的決断であり、それは訳の分からないところに出発する「飛躍」です。それによって永遠の命が得られるのです。

私たちは現世的利益のみを求めてしまいがちです。現世的利益を想像すると脳内にバラ色の世界が広がります。しかし自分の欲しいものがすべて得られたらどうなるか、そこには虚無しかありません。死、苦しみ、争いといった、自分の力ではどうにもならない状況に直面したとき現世的利益は無力です。悪魔に魂を売ってしまった人間の末路のようなものです。

イエス様が語った「永遠の命」は単なる死後の天の国(神の国)という気休めではありません。それは「神との関係に生きる喜びの人生」です。アブラハムの祝福も実は現世的利益ではなく神が共におられるという事実が本質でした。彼が見知らぬ土地へ踏み出せたのは、所有物への執着から神への信頼へと飛躍したからです。