8月21日牧師室より

九州には潜伏信徒の歴史遺産があります。天草・長崎は有名ですが九州筑後平野の北東部、筑後川中流域にも集落がありました。そこにカトリック今村教会が建っています。私は今回の帰郷で初めてそこを訪れました。内部には紙製踏絵や十字架紋様の鍔(つば)などの品が展示されていました。実際にそのような遺産を見ると、当時の厳しい取締りにもかかわらずキリスト信仰を守り通して生きていた人々のことが偲ばれます。昨今の事件で人々は宗教を警戒するようになりましたが、永遠に変わらないものを求める心は誰の中にもあります。潜伏信徒はその信仰に生きました。私もそのことを確認したような思いがしました。

筑後川には中村哲兄がアフガニスタンのマルガリード堰(ぜき)築造の参考にした山田堰があります。私は子どもの頃から知っていましたがそんなに凄い技術だとは知りませんでした。今回の帰郷でここにも立ち寄りました。大河川が蛇行するところに長さ320メートルもの傾斜石張り堰を設け、取水口は巨大な岩に孔を開けて水流で壊れないように造っていました。説明書きによると完成までに100年かかったそうです。山田堰の近くに2021年に建てられた中村兄のモニュメントがありました。そこには

「濁流に 沃野夢見る 河童かな」という中村兄の句が刻まれています。