今日の主日から降誕前節に入ります。私たちは聖霊降臨節の期間を「教会の時」として過ごし、今日の主日からペンテコステ(聖霊降臨日)までの期間を「主なる神の時」として過ごします。
今日はヨブ記38章1~11節が朗読されます。この箇所は沈黙していた神が初めてヨブに応答するところです。ヨブは敬虔な信仰者で悪を避けて生きていました。その人に大きな不幸が襲い家族や財産ばかりか健康までも奪われてしまいます。神を信じる人になぜこのような事が起きるのかというのがヨブ記のテーマと言ってよいでしょう。
ヨブに現れた神はその理由を説明するのではなく、「あなたは何者か」と告げます。この問いによって私たちは自分を見つめ直させられます。私たちは自分の意志で生まれ死ぬ存在でもなければ、他者や環境を破壊して良い存在でもありません。人間が思い描く幸福は他者や他のものの犠牲の上に成り立つものであってはなりません。これは誰でも知っていそうで、実は自分勝手な考えを抱き、神でさえ勝手に理解して自分勝手な行動をしてしまいます。敬虔なヨブも彼を訪ねてきた友との論争で徐々にそうなりました。
神が求めておられるのは、私たちが神を畏れ、他者のために祈ることです。ヨブは神を畏れ、自分の回復だけでなく他者の救いを祈ることによって霊的に回復させてもらい神との関係が正されました。ここに祝福に至る道が示されています。